「地域に愛される八百屋」としてまもなく一世紀
― 先代から社長を引き継いだ今の意気込みは?
島田青果は、昭和元年に前身である「大竹商店」から始まり、もうすぐ一世紀が経とうとしています。その間、地域の皆さまに愛される八百屋として信頼をいただくために、社員一同、努力を続けてきました。
今は、卸売、そして、弊社の主力商品となったカット野菜、特に、完全オーダーメイドのカット野菜など、時代に合わせて業務内容も変化してきてはいますが、社員一同、その気持ちは変わらず持ち続けています。
「誠実」をモットーに、美味しい野菜を五感で吟味し、なるべくいい状態で迅速にお届けすることが使命
― 島田青果の取り組みについて、まず卸売についてはどのようなことを大切にしていますか?
おかげさまで、学校、病院、飲食店、ホテル、企業の社員食堂といったお客様とお取引させていただいています。
弊社のモットーは「誠実」です。基本的なことですが、季節の野菜を五感を使って吟味し、なるべくいい状態でお客様へお届けすることを一番大切にしています。野菜や果物は、美味しくなければ意味がありません。市場には星の数ほどの品物が入荷しますが、その中から自信を持って「美味しい!」と言えるものをお届けしたい。そこは代々受け継いでいる思いであり、島田青果の強みの一つだと自負しています。
とはいえ、価格がお客様のご希望に沿わないようでは長いお付き合いはできません。弊社では時節に合わせて適正価格でお取引させていただいておりますので、まずはお見積りからはじめさせていただきたいと思っています。
― 野菜ソムリエの資格も取得していますね。
私は「ジュニア野菜ソムリエ」の資格を取得しました。病院や学校、企業の社員食堂などに携わっておられる管理栄養士の方々は、常に「品質」「コスト」、そして、「知識」といった要素を亜ために入れてメニューを考えていらっしゃると思います。そうした方々に、的確な知識や情報をお伝えすることで、食を通じて健康と笑顔の輪が広がればと思い、日々研鑽を積んでいます。
妻の実果も「野菜ソムリエ」として活動していますので、わからないことはどんどんお問合せいただいて、活用していただきたいですね。
どのように野菜が使われているか、料理を召し上がったお客様の反応も把握して食材提案・メニュー提案を行う
― 都内の飲食店様とのお付き合いも増えてきたとか。
おかげさまでイタリアンをはじめとしたレストラン、高級ホテルといったお客様とのお付き合いが増えています。
飲食店様の場合には、特に「旬」「新顔野菜」といったことがキーワードになります。私たちも日ごろからお客様のお店に足を運んでお届けした野菜がどのように使われているのかを把握して、今後の品ぞろえやメニュー提案に活かすようにしています。
― 食材やメニューの提案の際、大切にしていることは?
旬や産地ごとに異なる野菜の特徴を丁寧にお伝えしています。また、可能な限り生産者の方々のストーリーをお伝えできるように心がけています。料理人の皆さんの発想もよりクリエイティブになるでしょうし、召し上がるお客様もワクワク感が高まりますよね。私たちの提案が「美味しい!!」という笑顔につながっていることが何よりの喜びですね。
都内の業者としては珍しい「フルオーダー」業務用カット野菜に対応
― 主力業務であるカット野菜については、どのような点を強みにしていますか?
単にカットした材料を真空パックにしてお届けするのではなく、高級レストラン様やホテル様からのご要望にきめ細かくお応えする「フルオーダーメイド」対応に力を入れています。
― これまでも業務用カット野菜は提供していましたが、どう違うのですか?
わかりやすく言うと、野菜の皮をむいて適当な大きさに千切りや角切りにして提供するのは、規格品のようなものですね。これは多くの業者さんが参入している市場です。
一方で、「フルオーダー・カット野菜」は、市場にあまり出回っていない野菜や果物を加工してほしいというご依頼に対応するとか、例えば、グレープフルーツ・タワーに使用する食材を「皮をむいて、厚さ3ミリ、長さを何ミリに切って、100枚納品してほしい」、あるいはズッキーニ・コインに使用するために、「ズッキーニを直径3センチから4センチ以内の大きさで、厚さ何ミリにカットしてほしい」という細かいご要望にお応えします。
― 納品した食材がそのままメニューの一部として提供されるということは、味はもちろん、見た目にも直結しますね。どのような流れで進めるのですか?
まずお客様から、品種や味はもちろんのこと、皮むき、加工する形、大きさ、厚さ、長さといったご要望を細かくお聞きします。中には「細工をしてほしい」というご要望もあります。
ご要望をすべてお聞きしたら、弊社の加工スタッフと意見交換しながら、アイデア提案も交えて何パターンかサンプルをお出しし、最終的にお客様がご納得のいくものを選んでいただきます。
― 「フルオーダー・カット野菜」をご利用いただいている飲食店様からの評価は?
人手不足の解消に寄与するという点が一番のメリットですので、「ここまでやってくれるのか!」「助かるなぁ」とおっしゃっていただいています。
複数の店舗がある場合は新メニューを一気に展開できるうえ、各店舗での加工手間を大幅に軽減できます。味の質も見た目の美しさも揃いますから、店によってバラツキが出てしまうといったことも防げます。
ほかにも、通販用の鍋食材セットにご利用いただくなど、用途も広がってきています。
― コスト面の反応は?
こちらの手間がかかる分、当然のことながら少しお高くはなりますが、なんといっても人件費の削減や業務の効率化が図れる点、加工時の水道光熱費が削減できる点、廃棄ロスがなくなり歩留まりがよい点、そして、食材を在庫として抱える必要がない点などさまざまなメリットがありますので、コスト面でも十分なメリットを感じていただいています。
安心・安全にこだわった自社工場では、急速冷凍にも対応。品川から都内・近郊都市へ「自社流通便」で迅速に配送。
― 島田青果は、「品川区内に自社工場がある」ということが強みのひとつですね。
交通アクセスのよい場所にありますので、市場から仕入れたものを新鮮なうちにお届けできる強みがあります。
「安心・安全」への取り組みとして、洗浄の際に「電解水」を使用しています。電解水は食塩水を分解してできた水ですが、安全でありながら高い除菌効果があるうえ、薬のにおい残りがないので野菜・果物本来の美味しさが保たれる点もポイントです。
また、食品微生物センターで「食品細菌検査」を行い、HACCPに準拠した衛生管理方式を取り入れています。
設備面では、「急速冷凍機」も導入しました。これにより多様なニーズにさらにきめ細かく対応できます。
― そして「自社流通便による配送」もお客様にとって大きなメリットですね。
「都内でフルオーダーの業務用カット野菜に対応する業者は珍しい」とよく言われますが、さらに「オーダーしたものをすぐに届けてくれるのはありがたい」と大変ご好評いただいています。
今は、東京都内はもちろん、川崎、横浜(みなとみらい)、浦安などの近郊都市まで配送しています。
「できません」を封印し、お客様のご要望に限界まで応えていく企業姿勢
― 今後の意気込みを聞かせてください。
時代は常に変化しています。カット野菜のオーダーも、10年前はいわゆる規格ものばかりでした。今は個々の料理人の方々から細かいオーダーをいただきますし、それも料理を召し上がったお客様の反応に合わせて、「同じものを冷凍にしてなるべく早く届けてくれ」というように変化していきます。10年前では考えられないことですが、そのぶん島田青果の存在価値も変化し、お客様からの期待や弊社の役割も年々大きくなっているのを感じています。
ですから、お客様からのオーダーに対して、「それはできません」とは絶対に言いたくないですね。一世紀近くにわたって培ってきた野菜・果物のプロとしてのノウハウ、そして、社員・スタッフの知恵と情熱で、品質面でもコスト面でもご納得いただけるようなものを提供し、多様なニーズにどんどんお応えしていきたい。それをやり続けることが、さらに力強く明るい未来につながるはずだと思って、「感謝」「謙虚」「誠実」をモットーに社員一同、頑張っています。
ぜひお気軽にお問合せください!心よりお待ちしております。
(聞き手:ポケット・クリエイション)